大判例

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東京高等裁判所 昭和37年(ネ)1626号 判決

原審における控訴人石川淳策、八木万衛、木本清一、増田トヨ各本人の尋問の結果及び原審証人松村武の証言の一部によれば、前記創立総会において、発起人総代であつた控訴人八木の推挙により満場一致で議長に選ばれた控訴人石川は創立事項の報告として、定款の認証を受け、東京陸運局長に営業譲渡(被控訴人より申請外会社に対する一般貸切旅客自動車運送事業の譲渡)の認可申請書を提出して認可となり、株式の払込を完了して創立総会開催の運びとなつた旨の経過を簡単に報告したことが疎明され、原審並びに当審証人松村武の証言、原審における被控訴本人の尋問の結果及び疎甲第五号証の一、二の記載中いずれも右認定に反する部分は採用できない。なお創立事項の報告が発起人自身により行われなくとも会社設立の無効原因となるとは解せられない。

三、非訟事件手続法第百八十七条第一項及び同法第百五十条によれば、株式会社設立の登記は総取締役及び総監査役の申請によつてなすことを要し、ただ正当の事由により連署することができない者がある場合にはその他の者のみで申請することができるのであるが、一部の取締役又は監査役が連署を拒んだ場合も右の正当の事由に該当するものと解するのが相当である。けだし会社は本店の所在地において設立登記をすることによつてはじめて成立することは商法第五十七条の明定するところであるけれども、右は会社の成立不成立が不明確な場合には第三者に不測の損害を及ぼす虞があるから、会社の設立が公示された時期をもつてその成立時期とし、なお併せて登記官吏をして設立要件の存在を審査せしめた後会社が成立するものとする趣旨にすぎず、創立総会を終え設立登記以外の一連の設立行為が完了したときは会社の実体は既に完成しているのであるから、それにも拘らず一部の者が連署を拒んだ結果設立登記の申請をすることができないため、遂に会社が不成立に終らなければならないとすることは極めて不合理であるからである。

(田中 岡松 今村)

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